ブラームス:4つのピアノ曲 作品119の1 《不協和音から引き出す喜びと楽しみ》

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 記念すべき第1回で紹介させて頂く作品は、筆者の大好きな作曲家であるヨハネス・ブラームス(1833〜1897)の晩年の傑作「4つのピアノ曲 作品119」から第1曲:間奏曲 ロ短調 です。私がなぜブラームスが好きになったかという話はさておき、まずは魅力あふれるピアノの小品から。

晩年のブラームス

 ブラームスは58歳の誕生日を迎えた頃(1891年)、心身の衰えを感じ始め、早くも遺言書を作ります。実際に彼の管人である楽譜出版社ジムロックにあてて送っているほど・・・ブラームスは既に玄冬を迎えていたと言えるでしょう。そしてそれは彼の創作活動においても顕著に表れていて、益々深みをました音楽が彼の最晩年の傑作として並んでいきます。1892年から93年にかけて集中的に書かれたピアノの小品達もその中の一つ。人生の所産を総轄するかのように4集の小品集作品116〜119(計20曲)を書き上げています。これら小品群は円熟した彼の心境を余す事無く伝える名作ぞろいで、簡素で自然な老熟の極み、深い味わいに満ちた楽想は、ブラームスの生まれ故郷である北ドイツ・ハンブルグへの郷愁のようにも感じます。

作品119の1の魅力

 そんな素晴らしいラインナップの中でもこの作品119の第1曲は、最も美しい?(と私は思っています😀)一曲です。「これぞ老熟の極み!」とでも言えるでしょうか。曲を聴くとどうしても下降音型やシンコペーションばかり見てしまいますが、その歩みはゆっくりと、しかし意識は必ず前を向いているような、なんとも言えない魅力を放っています。そして中間部で現れる長調の美しさ。いかにも昔を懐かしむような感動を味わえますが、それだけでは無い多少のシニカルさも感じます。昔の自分をちょっと鼻で笑うような?物悲しさを…。冒頭の主題が戻ってきた後半では、後ろ髪を引かれながらも、前に進みたいという強い気持ち(或いは頑固さ?笑)を感じます。

 一見、「暗くて地味な作品」と思う人もいるかもしれません。しかし見開き一ページに収まるような短い曲の中には、色々な思いを巡らせながら、なんだか「ニヤ」としてしまいそうな、ドラマが詰まっている。そんな作品です。春の気温も丁度いい夜長に、聴きたくなる一曲です。最後に、ブラームスがこの曲の楽譜をクララ・シューマンに贈る際、書き添えた言葉と、クララの曲に対するコメントを。

ブラームスの言葉

ブラームス

「この曲は不協和音の宝庫です。どの小節もどの音符もリタルダンドの指定が有るかのように鳴らなければなりません。あたかもそれらの小節や音符からメランコリーを吸い出そうとするかのように、不協和音から喜びと楽しみを引き出すのです。」

クララ

「灰色の真珠-くぐもった、非常に尊いもの」

 不協和音から喜びと楽しみを引き出すのです。むずかしい・・・でもちょっとどんな曲なのか、聴きたくなってきまね。

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