もう語り尽くされたクラシック音楽のイメージ
クラシック音楽というと次の様なイメージを持たれる事があります。
そこそこの値段のするチケットを購入し、それなりのドレスコードで、立派なコンサートホールで体中を耳にしながらその空間を楽しむ「特別の時間」=敷居が高い
筆者自身、気になる演奏会や好きな演奏家のコンサートはチケットを買って綺麗目な格好をしてホールまで足を運びます。生演奏を聴きその空間も楽しみます。ですが、その昔フランス革命より前の時代には、“クラシックの音楽をコンサートホールで聴く”という習慣はありませんでした。それはなぜでしょうか?
コンサートホールで鑑賞するというスタイル
そもそも世界最古の音楽専用ホールは、イギリスはオックスフォード市のホリウェル音楽堂と言われています。ここはヘンデルが活躍した歴史あるホールですがその建物ですら1742年のものだそう。(日本で最も古いのは、旧東京音楽学校の奏楽堂で明治23年(1890)建築)その後フランス革命を経て少しずつコンサートホールは増えていきますが、以後もコンサートホールで演奏を楽しむ機会は今ほど多くありませんでした。もちろんCDやLPもまだありません。でははどんな場所で音楽を楽しんでいたのでしょうか?
演奏者と聴衆の間には何もない
フランス革命前までのコンサートは、王族や貴族が王宮の広間などで私有に催し楽しむもの、或いは教会などで宗教的な意味合いを伴うものでした。また革命後はサロンや個人宅の一室(サロンとはそもそも「部屋」を意味するフランス語)またはカフェやバーなどで、愛好家や演奏家、更には他ジャンルの文化人等が集まり催す事が多かったのです。
そこに集う人々は「こんな曲作ってみたのだけどどう?」とか「この曲すごく良いのだけど知っている?」など、お茶やお酒を飲みながら楽しく意見を交換していました。またその話題は音楽に留まらず、小説や詩などあらゆる分野に至りました。そして、そこでは舞台と客席といった区切りはなく、フラットな一つの空間で同じ目線で楽しんでいたのです。つまり、物理的にも意識的にも、演奏者と聴衆の間には何もなかったわけです。
これからのクラシック音楽の楽しみ方
筆者の小さい頃は、ラジオで流れてくる音楽をカセットテープに録音して楽しんでいました。年末には某局で放送されるバイロイト音楽際を録音するために夜中まで起きて必死に裏表を入れ替え、テープを取り替え寝不足になりなっていた事を思い出します。(MDコンポが手に入った時は本当に感動しました?)
ですが今の世の中そんな必要はありません。聴きたい曲があれば、youtubeで検索をかければ多くの演奏を楽しむ事ができます。演奏家の名前で調べる事も出来れば曲目で調べる事もできます。原語で検索すればかなりの確率で見つけられるのではないでしょうか?
仮に見つからなかったとしても、Googleなどで検索すればCDや某storeの音源データーはすぐ見つかり、お店に行かなくても手元に届く時代なのです。もっと言うとインターネットでのライブ配信なども楽しめ、5GやVRなど益々環境は良くなる一方です。
これはクラシック音楽業界にとっても大きな追い風なのです。
これは現代のサロン?
こうした環境を考えると、クラシック音楽は前よりももっと身近になったのだと思います。好きな演奏にコメントをしたり、自分で演奏を配信してみたり。つまり演奏者と聴衆の距離が大きく近づいたのだと思います。これって言ってみれば現代のサロンですよね?
つまりこれからの時代は、クラシック音楽が聴きたくなったとき、今まで通りコンサートホールで生演奏を楽しむ事も出来るし、昔のサロンの様に曲や演奏を紹介したりして意見し合う事も出来る。両方を楽しむことができる時代なのです。ちょっとしたきっかけで曲を検索して、youtubeで曲を見つけて鑑賞する。生演奏でも聴きたくなりコンサートホールに足を運ぶ。もちろんその逆もあると思います。クラシック音楽を楽しむ環境は、素晴らしく整ったわけです。
Blog Concept
当ブログCRASSICA LIFEでは基本的に演奏家の批評はしません。寧ろここでは曲についての紹介をして「こんな良い演奏もあるよ」とか「こんな曲もあるよ」とか。もっと進んで「この曲演奏してみたよ」とURLを貼ってもらう。そうした内容をコメント欄に投稿して頂く、演奏者と聴衆の区別なく皆で音楽を共有する場所。そんなサロンの一つになっていけたらと願っています。
まずは細々とコツコツと、記事を増やしていかないとですね・・・
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